出会いEncounter 

状態の良いファルコンを探していたところ、とても素晴らしく見える個体を発見しました。過去に取材などを受けたこともある、現地では少し有名な車輌のようです。SNSでもオーストラリアの車好きの間で大騒ぎになっていました。
パッと見はインターセプターっぽく見えますが、フロントバンパーとオーバーフェンダーが追加されているだけです。ルーフスポイラーとリアスポイラー、ブラック オン ブラック塗装などの外装は未処理で、スーパーチャージャーも未装着という状態。インターセプター風でありながら、大人のカスタムカーといった風合い。かなりいい雰囲気に仕上がっているので、このまま乗りたくなってしまいます。

エンジンはオリジナルの351C-4Vが完全オーバーホール搭載されているようですが、映像を見る限りガスケット交換程度しかしていないような気もします。ちなみにこのエンジン、鉄ヘッドです。当時のままであれば、エンジンは有鉛仕様。近年乗っていることを考えると、恐らく無鉛仕様のシートリングに交換されていると思われます。もしシートリングが有鉛仕様のままだった場合は、アルミヘッドに丸ごと交換するのが良さそうです。
(オーストラリアの351C-4Vは本国の4Vとヘッドが異なる…という未確認情報があり、その点は興味津々)

僕の注目ポイントは、ポンコツをベースに製作されたレプリカと異なり、サビひとつない車輌をベースに製作されている部分。これに尽きます。また、どこで入手できるのか皆目見当が付かないMAD MAXバージョンのホイールを履いているのも高ポイントです。
2012年に公開されたyoutubeの動画には、2010年のカレンダーが写っていて、驚くほどピッカピカ。つまり、2009年に製作して、完成してすぐの状態で撮影したのだと思われます。
動画内とカレンダー、そして中古車サイトの画像すべてに同じナンバープレートが付いていることも確認できます。総合すると「綺麗なファルコンをベースに製作された」「製作は8年前らしい」「製作後ワンオーナーらしい」という内容を、読み取ることができました。

あまりに綺麗な個体。欠品部品も無さそうですが、やはり… というか、当然… というか、驚愕のウルトラプライス。とてもとても手を出せません。
ここまでの良個体、すぐに売れてしまうだろうなと思っていましたが、そうでもないようです。何故これほどの個体が売れないのか、不思議に思いSNSの騒ぎをチェックしてみたところ…
「これはブロワーが付いてないニセモノだ!」
…的な、インターセプターとしては未完成品なのに高いという、文句の声が半分。
「なぜファルコンをこのようにしてしまったのだ!」…的な、ゲテモノ改造が許せないという、オリジナル至上主義の声が半分。
オリジナルが好きな人達の気持ちは分かります。どんなに改造車のベースとして人気を博したモデルでも、旧車扱いされる頃には「オリジナルが一番」という声が増えてくるものです。
しかし、それ以外の人達が言う、これはニセモノだ!的なトークには面食らいました。どうも世間的には「これをベースにインターセプターに仕上げよう」なんて発想の人は皆無で、みなさん出来合いのものを求めているようです。僕は「これがベースなら、選択肢として最上級だ!」と思ったのですが…

まぁ普通に考えれば、公開から38年も経った今になって、わざわざインターセプターを作ろうと考えている僕の方が少数派なのは当然ですよね。本当に情熱のある人は、すでに買ったり作っているのでしょう。
ハッキリしているのは、オリジナル派、ブロワー無いぞ派の、どちらの派閥からも受け入れられず、売れ残っているという事実です。
僕はどちらの陣営にも属していませんが、あまりに高すぎて手が出ません。後ろ髪を引かれる思いですが、諦めることにしました。

決断!?Determination!? 

facebookには、承認されたユーザー限定の「非公開グループ」という物があります。例えば「MAD MAX」や「Interceptor」などのキーワードで検索すると、海外のMAD MAXファンが作成した非公開グループがいくつも出てきます。
これらのグループは、「承認申請をクリックするだけで入る事ができるが、マナー違反者は永久追放される」という物なので、簡単に入る事ができます。僕は情報が入手できそうな所を探して、片っ端から参加させてもらっています。インターセプターやMAD MAX関連の売買情報をはじめ、劇用車の貴重なスチル画像(Fury Road撮影時のオフショット)や、海外のインターセプターオーナーの画像など、驚きの情報がテンコ盛り。現在進行形で最新の情報があふれかえっているのです。
期待していたインターセプター現物の売買情報はありませんでしたが、何となくタイムラインを眺めていると、驚くべき画像を発見! 本当にビックリしました。

この画像の個体は、あの売り物に間違いありません。何よりナンバープレートが一致します。
画像の雰囲気から、動画の冒頭と同じガレージ(っぽい)と推測できます。つまり、少なくとも7~8年は、ガレージで保管されていた(っぽい)ということです。リップの削れ具合から、延々と放置されていたわけではなく、ちゃんと乗っていた(っぽい)ことも想像できます(販売サイトの画像では、リップの先端は修復済み)。

ここまで希望の条件が揃っている個体は、そうそう無いと思います。かなり背中を押されましたが、すでに販売サイトに掲載されてから1ヶ月以上経過しています。一般的な中古車と違い、旧車は10台あれば10台とも個性が大きく異なる存在。故に一期一会。これしかないと思ったら、迷ってはいけないのです。
とっくに売れてしまっただろう…と思いつつ、販売サイトをチェックしたところ…まだ売れ残っていました。しかも、驚きのプライスダウン! ネックだった金額の条件もクリアされ、もう悩む必要が無くなってしまいました。

残り物には福があるのか、実はヤバい案件が潜んでいるのか…