プロローグprologue 

私がまだ高校生だった頃、渋谷の映画館で「マッドマックス」を見た時の衝撃は、今でも全く衰えることはありません。
疾走する黒い矢のような車体。唸るスーパーチャージャー。巻き上がるタイヤスモーク。
凄い!こんな車に乗れたら!夢と呼ぶにもおこがましい願望を持ち続け、いまや四捨五入で40才を数えるまでになってしまいました。
そして数年前にある自動車雑誌で、このインターセプターのリプロダクションが今も生産され、購入が可能である事を知りました。

…こんなプロローグで始まった、那須PSガレージ様のメイキングリポート。
僕も当時MAD MAX、MAD MAX2にヤラレた一人。偶然発見したリポートには、本当に驚かされました。
「ベース車輌がオーストラリアのファルコン」「あの構造ではスーパーチャージャーが停止すると空気が吸えないからダミーだろう」程度の知識しかなく、まさかレプリカを手に入れることができるなどとは考えてもいませんでした。
しかも、それを注文して製作している人がいる。まさに「稲妻に撃たれた」ほどの衝撃。モニターに穴が開くほど読み返し、一日千秋の想いで更新を待ったことを、昨日のことのように思い出します。

「いつか僕も欲しい」と、漠然と考えているだけで、インターセプターから僕の元に来るはずはありません。「インターセプターという目標」を持ち、僕がインターセプターに向かう必要があります。
那須PSガレージ様のメイキングリポートを発見してから12年。僕の中では仕事が乗っている時期でもあり、一瞬の12年でしたが、その間、インターセプターに使用されているパーツ類に関しては、相当調べ尽くしていました。

この間、特にモヤモヤしていたのが、スーパーチャージャーのオン/オフに関する部分です。ルーツ式スーパーチャージャーは一方通行の弁のような機構で、停止すると空気が通過できないばかりか、ターボチャージャーのようなバックタービンも不可能なんです。
このため、何も考えずにターボと同じような感覚で装着すれば、大変なことになってしまいます。また、あれを回すレベルのトルクに対応する電磁クラッチをどうするべきか。パッと思いつくのはカーエアコン用電磁クラッチですが、製造元のエンジニアによると、とてもとても転用などできそうにありません。
そんなことばかり考えていました。

怒りのデスロード公開Fury road 

遂にMAD MAX4作目、怒りのデスロードが公開されました。僕の中でMAD MAXといえば1~2作目だけであり、サンダードームは無かったことになっています。このため、4作目などまったく期待していませんでしたが… なんと予告にインターセプターが登場するじゃないですか! 2で自爆した経緯は、無かったことになっているのだろうか。映画を観るまでは、その1点だけが気になっていました。
そして劇場で鑑賞。
劇中でのインターセプターの扱いは散々。マックスは主役かどうかも怪しいポジション。睨むだけで相手を威圧するメルギブソンと違い、随分丸くなった感じのマックス。色々と「コレジャナイ」感はありました。ありましたが、こんなに面白い映画を観たのは久しぶりです!
さらに前日譚コミックスを読んで衝撃を受けました。自爆したインターセプターを、あそこまで修復して乗り続けているマックスと再会したのです。あの物資供給が途絶えた世界で、何年も掛けて命懸けでインターセプターを修理。このストーリーに目頭が熱くなりました。
僕はこれまで何もしていなかった。那須PSガレージ様のメイキングリポートに触発されたものの、何も行動に移っていない自分に気が付きました。そして、何度も映画館(もちろん立川シネマシティの極爆MAD MAX)に足を運ぶ中で、遂に決意が固まりました。

12年前、那須PSガレージ様のメイキングリポートを初めて読んだ頃と違い、今の僕は外国人との会話や、英語のメールが日常茶飯時。流暢な会話こそできませんが、あの頃ほど英語に対する拒否反応はありません。そして、海外在住の知人という、かけがえのないコネクションも築いています。もはや、何も悩むことはなくなりました。後は実行するのみです。
「実行するのみ」なのですが、超えなければならないハードルが多すぎて、何から手を付ければ良いのか途方に暮れてしまいます。簡単に辿り着けるゴールではないような気もしています。しかし、いつ終わるか判らないほど長く掛かりそうな案件だけに、モタモタしていれば実現がより困難になってしまいます。

何としても実現する、絶対に死ぬ前に完成させる! という目標を達成するべく、常に自分の尻を叩く意味を込めて、このサイトを作りました。さらに、那須PSガレージ様の御許可を頂き、「メイキングリポート」もスタートします!