完成!Completed! 

展示すると決まれば、オートサロンまでに間に合わさなければなりません。
リアスポイラーとルーフスポイラーの取り付けと成形、ブラックオンブラックの塗り分け、スーパーチャージャーの搭載、ボンネットのカット、リアバンパー下の形状変更、リアサイドマーカーの前期化、回転灯のテーブル製作など、「見た目を何とかしなければならない部分」が山ほど残っています。
メタルワークショップMにお渡ししたのが12月8日、東京オートサロンの搬入日は1月11日。年末年始を挟む忙しいタイミングで、絶対に間に合わせてくださいとお願いしなければならない状況になってしまいました。

ルーフスポイラーの取り付け位置、ツートンカラーの塗り分け位置、ストライプの太さ、回転灯テーブルの形状などは、師匠のインターセプターをノギスで採寸しつつ撮影した大量の画像情報を、資料とさせて頂きました。
時間がないので、モタモタ悩んでいる場合ではありません。できること、できないことの取捨選択の中で、元のリアスポイラーを外した穴をはんだで埋めるなど(溶接だと熱が強すぎて変形する)、後から修正しにくくなる部分ほど丁寧な作業をやってくれたことは、本当に有り難いです。そして、実は色々あったのですが(色々の部分はいずれ書きます)、期日通りキッチリと仕上げてくれました。
東京オートサロンの搬入日の前日となる1月10に、大宮陸事でメタルワークショップMの松本氏と合流。ナンバーと封印が付き、遂に正々堂々と公道を走れるインターセプターの完成です!

この際、大宮陸事に居たのは僅か20分程度でしたが、45~55歳くらいの複数の方が足を止め、撮影したり話しかけてくれたのですが、その驚きの表情やキラキラした眼差しから、オートサロンでも同じようになるに違いない。と確信。
陸事から僕たちの会社の工場まで移動する際も、周囲の二度見、脇見運転、写メが凄いことになっていました。

工場に戻ったインターセプターですが、もうオートサロンの搬入まで半日しかないので、制御系のMoTeC機器を再セッティングしたり、ヘッドランプを展示用のLED製に交換したり、軽く洗車したり…と、ジタバタせずに準備を済ませました。

実は、この日のために水面下で模索している物がありました。
完成したばかりのインターセプターはピカピカです。MAD MAX劇中のインターセプターもピカピカなので、綺麗なまま展示すれば何も問題はないのですが、やはり、インターセプターは砂埃にまみれているイメージがあります(主に2とデスロードからのイメージなのですが)。
どのようにして「汚し」仕上げにするべきか。
プラモデルの場合、汚れや埃風の塗装をするのではなく、粉末状にしたパステルを使うことで、よりリアルな仕上がりを追求するそうです。しかし、車両1台分のパステルを購入するのも、それを粉末状にするのも、相当無理があると感じます。
オーストラリア砂漠の赤土、これは日本にありません。日本の赤土は文字通り「土」なので、砂漠の「砂」を再現することができません。

手に入る可能性のある赤い粉末をネットで検索したところ、
赤錆粉     :文字通り赤サビの粉末
赤唐辛子粉   :文字通り唐辛子の粉末
ハバネロパウダー:文字通りハバネロの粉末
こんなもの屋内の自動車展示イベントで使ったら、テロリストです。さんざん悩んだり周囲に相談しましたが、良い解決策が思い当たりません。

そこで、「まったく面識がない」にも関わらず「いきなり一方的な質問」を、現役プロモデラーであり、自動車模型界のカリスマである、かっぱコーヂ氏に送信。当然ながら超緊張でしたが、メールのキャッチボールをする中で、自分の中に閃きを感じました。
たぶん、「プラモデル」と「パステル」は、元々まったく関わりが無かった物。プロモデラーの誰かが組み合わせに気付いたことで、今では市民権を得るほどのテクニックになったんだと思います。
「赤い粉末」をネット検索しているだけではダメだ。化粧品だろうと劇薬だろうと、片っ端から可能性を模索して、これまで気付かなかった「赤い何か」を 自分で見つけ出す!と、決意を新たに。
そして、かっぱコーヂ氏に相談したお陰で開眼した僕は、最後の最後になって「赤い何か」「茶色い何か」「白い何か」を、遂に入手してしまいました。

そして搬入日の朝。
搬入をお願いしていたフィールドソースの水野さんが、車幅2150mmのインターセプターを余裕で載せることができるローダーで、迎えに来てくれました。
イベント中に配布するパンフレットもギリギリ間に合いました。インターセプターはトランクのサイズも広大で、5000部のパンフレットをはじめ、スタッフの荷物から何から何でも入りました。

搬入と設置はスムーズに完了しましたが、問題は展示方法です。
会場に持ち込んだ例の「赤い何か」を、いきなりボディにドバッとふりかけて良いのだろうか。3色をブレンドすれば、イメージ通りの色になりそうなものの、上手にブレンドできる自信が無い。それと、粉状の物を「ふりかけた状態」というのは、触れば落ちてしまうだけに、非常にリスクが高いです。
搬入日の夜と1日目(プレスデー)は、メディアの撮影があるので、中途半端な状態で展示することは避けたい。熟考した末、金曜と土曜は綺麗な状態をキープして、最終日のみ砂塵仕様にすると決めました。最期にMAD MAXコンベンションで購入したMFPのシールをフェンダーに貼り、オーストラリアから届いたスペシャルゲストを助手席に乗せて、ようやく準備完了です。