公認車検Official inspection 

そして、いよいよ公的検査機関にて排ガスレポート(以下ガスレポ)の取得です。ガスレポは平行輸入車には必須の「排気ガスが基準内に収まっています」という証明書です。
例えば、触媒を8個付けて排ガスを基準内に収めた場合は、「触媒8個でクリア」と証明書に記載されるため、実際の車両登録の際にも触媒が8個付いていないとアウトになります。
今回は、左右のマフラーそれぞれに触媒を各1個。合計2個の触媒を取り付ける予定ですが、まずその前に、MoTeC M800を使用して、排ガスの最適化を行いました。

元々のマフラーは触媒無しだったので、その状態で公認車検のプロ、TICの越川氏に来て頂き、排ガスをチェックしてもらいつつ、M800のセッティングを微調整しました。触媒を通さない生の排ガスのデータをチェックすることで、一番排ガスがクリーンになるポイントを追求します。
排ガスのCO・HCという成分を低下させるには、単純に混合気のガソリンを薄くすれば良いのですが、ある一定のラインを超えて薄くすると(薄過ぎると)NOXという成分が発生します。CO・HCも、NOXも、極限まで低く抑える必要があるため、ギリギリの数値を目指してガソリンの噴射量を微細に調整しました。

越川氏に「5800ccもあるのに、ここまで下がるとは思わなかった」と驚かれるほど低い数値に収めることができたため、ガスレポは120%取得できると確信。TICで触媒とサイレンサーを取り付け、公的検査機関でのガスレポは一発でクリア。クリアできるように作ってから持ち込んでいるので当たり前ですが、そこまでの手際も含め、さすがTICです。

そして、いよいよサイドマフラーに仕様変更です。
公的検査機関での試験は「排気ガスの成分」で、ここからは「形状」と「音量」です。公的検査機関の検査で使用した触媒(排ガス浄化装置)はそのままで、今度は消音性能と形状を最適化させる必要があります。サイドマフラーに関しては、2017年6月から規制緩和されています。ただし、何でもかんでも大丈夫になったわけではなく、「形状」「車高」「音量」を、キッチリと規制の範囲内に収める必要があります。

予算と時間の関係から、アメリカ製の汎用サイドマフラーをベースにしたので、本物に忠実なデザインは最初から想定していません。相談の結果、出口パイプ部分はオールステンレスで製作することとなりました。鉄+メッキよりも、ステンレスの方が日本製「らしさ」が感じられます。(青く焼きを入れたチタンも可能でしたが、費用が…)

まずTICでサンプルを製作します。師匠のインターセプターの画像に合わせて、角度と長さを微調整しました。このツギハギだらけのサンプルに合わせて、マフラー製作のプロ、ココファクトリーに同型状のステンレスパイプを8本特注しました。
まったく同じ長さ、同じ曲げ、同じファンネル形状だけではなく、ベンダーによる傷が付かないように指定するなどの無茶振りでしたが、超特急仕上げで完璧な物に仕上げて頂きました。日本の職人魂を感じる逸品です。サイズ、ロードクリアランス、消音材をTICで決定したサイレンサー2個も、ココファクトリーの特注品を使用。フェラーリのようなV8サウンドとは真逆の、MAD MAXらしいV8サウンドに仕上がりました。

マフラーが完成したところで、いよいよ予備検。これは一般的な車検とは違い、オーストラリアから個人輸入した車両の新規登録です。アメリカやヨーロッパのように、国際的に認知された基準で設計・製造されている自動車と違い、オーストラリア製の自動車(しかも旧車)は、「聞いたこともない国の、見たこともない自動車をいきなり登録できるわけないだろ!」という、途上国扱いです。
自動車というのは、細かい部分まで一定の基準をクリアした設計・製造であることが求められています。このため、誰も検査したことがないオーストラリア車となれば、これらの部分がちゃんとしているのかを証明する必要があります。この部分をTICがキッチリと証明してくれたお陰で、晴れて予備検をクリアすることができました。

予備検が終わったのが2017年12月8日。2018年1月11日搬入の東京オートサロンが目前に迫っています。このため、ボディショップに緊急入院しました。

東京オートサロンでは、北ホール11のTICのブースに展示されます!